130万円の壁と扶養認定の見直しについて

日本年金機構は5月1日、令和8年4月1日以降の被扶養者認定について、労働契約内容から見込まれる年間収入を基準に判断する取扱いを広報しました。

被扶養者として認定されるには、年間収入が130万円未満であることに加え、同一世帯の場合は被保険者の年間収入の2分の1未満、別世帯の場合は被保険者からの援助額より少ないことなどが要件とされています。

いわゆる「130万円の壁」は、パートやアルバイトで働く人にとって大きな問題です。
収入が一定額を超えると、社会保険の扶養から外れ、自分で保険料を負担することになります。
そのため、「もう少し働きたい」と思っていても、手取りが減ることを心配して、勤務時間を調整する人も少なくありません。

今回の見直しでは、実際の収入が一時的に増えたかどうかだけでなく、労働条件通知書や雇用契約書などから見込まれる年間収入をもとに判断されることになります。これは、働く人にとって一定の安心材料になると思います。

特に、繁忙期の残業や一時的な勤務増によって、「扶養から外れるのではないか」と不安になるケースは少なくありません。制度の判断基準が少し整理されることで、本人も事業主も見通しを持ちやすくなる点は評価できます。

一方で、これによって「130万円の壁」そのものがなくなるわけではありません。
年間収入130万円未満という基準や、生計維持関係の要件は残ります。制度が柔軟になったとしても、
「働きたいのに調整せざるを得ない」という現実は、なお残っていると言えます。

また、事業主側には、労働条件通知書や雇用契約書をきちんと整備し、従業員に分かりやすく説明することが求められます。制度を知らなかった、書類が整っていなかったということで不利益が生じないよう、実務面での対応も大切です。

今回の取扱いは、働く人の不安を少し軽くする一歩だと思います。
ただし、本当に必要なのは、働く意欲をそがない社会保障制度にしていくことです。
「働くほど不安になる」のではなく、「安心して働ける」制度へ。今回の見直しをきっかけに、より分かりやすく、納得できる仕組みづくりが進むことを期待したいと思います。

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