「配慮」のつもりが不利益取扱いに?

温かな光を背景に、腕組をして微笑む白石社会保険労務士

~育休復帰後に企業が気を付けたいこと~

育児休業から復帰する従業員に対して、企業はさまざまな配慮を行います。
しかし、その配慮が本人の意思を確認せずに行われた場合、「不利益取扱い」と判断されることがあります。

特に管理職や専門職の場合、「育児中だから負担を軽くしてあげよう」という善意が、
思わぬトラブルにつながることがあります。


よくある勘違い

例えば、

  • 子どもが小さいから責任の軽い業務に変更する
  • 残業ができないだろうから重要な仕事を外す
  • 育児との両立を考えて役職を外す
  • 転勤を免除する代わりに昇進コースから外す

といった対応です。

会社としては「配慮」のつもりでも、本人が望んでいなければキャリア形成の機会を奪う結果となりかねません。
重要なのは、会社がどう考えたかではなく、本人がどう考えているかです。

最高裁が示した判断

代表的な裁判例が、広島中央保健生活協同組合事件です。

この事件では、病院に勤務する理学療法士が妊娠を機に軽易な業務へ転換した際、副主任の役職を外されました。その後、育児休業から復帰しても元の役職に戻されませんでした。

最高裁は、妊娠や出産等を契機とした降格は、原則として違法となるとの考え方を示しました。本人の自由な意思による真意の同意や、業務運営上の特段の必要性が認められない限り、不利益取扱いに該当する可能性があると判断しています。この判決は、いわゆる「マタハラ判決」として知られています。

実務上のポイント

育休復帰時には、

① 本人の希望を丁寧に確認する

② 面談内容を記録として残す

③ 一時的措置である場合は期間を明確にする

④ 将来のキャリア形成についても話し合う

ことが重要です。

「子育て中だから無理だろう」という管理職の思い込みは禁物です。

まとめ

育児との両立支援は企業の重要な役割ですが、「配慮」と「不利益取扱い」は紙一重です。特に育休復帰後の配置転換や役職変更については、会社の善意だけで判断せず、本人の意思を十分に確認しながら進めることが求められます。従業員のキャリアと育児の両立を支援する姿勢こそが、安心して働き続けられる職場づくりにつながるのではないでしょうか。

「善意の配慮がハラスメントや不利益取扱いにならないために」




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