部下を持つリーダーやマネージャー、管理職の方
パワーハラスメント(以下パワハラ)は、労働者の人間としての尊厳や人格的な権利を侵害するだけでなく、就業環境を悪化させます。それによってメンタルヘルスを損ない、休職や退職を余儀なくされることもあります。最悪の場合には自殺に追い込まれることさえあります。
他方で、企業にとってもパワハラは重大な問題であり、生産性の低下など事業の運営に悪影響を及ぼし、被害を受けた従業員が休職したり退職したりすれば貴重な人材を失うことになります。さらに、ハラスメント事件の発生は組織の評判を下げ、事業体全体の士気へ悪影響を招くことになります。パワハラに対して適切な処置を講じなければ、企業は使用者として責任を問われることにもなります。
ハラスメントの問題点には、主観だけで相手の立場を考えない言動があげられます。「昔のやり方はこれが正しかった」など、世間の常識や社会人としてのルールなどの価値観を押しつけてしまうのは、相手を傷つける行為につながりかねません。
「自分はよくても相手は嫌な気持ちになるかもしれない」という意識をもつことで、言葉を選んだ伝え方ができるため、ハラスメントにつながる言動を予防することにつながります。多様な価値観や働き方を認めるためにも、社内の業務改善や意識改善など、さまざまな面から働きかけていくことが必要です。
「上司は最大の職場環境である」ことの認識と、具体的にどのようなことがハラスメントになるかを正確に把握し、解決へと導く実践力を身につけることを目的とする研修です。
ハラスメント相談窓口を担当する方
ハラスメントの相談窓口を担当する社員や、人事労務担当者向けの研修を行うことも必要です。
- 妊娠や出産した従業員が職場復帰しやすい環境にする
- 家族の介護が必要な職員に対して、介護制度を利用して働ける環境をつくる
- 時短勤務や育児休暇制度を導入して、仕事と私生活を両立できる環境を整える
上司に直接改善を求められる人もいますが、なかには限界を迎えるまで声をあげられない状況の社員もいるかもしれません。社員が話すチャンスや機会を設けることで、ハラスメントの予防につながる対策が期待できます。相談内容の管理は慎重に扱い、本人の了解を得ながら適切な形で部署の上司に共有するように配慮しなければなりません。
研修では相談を受ける際の心得や対応方法、ハラスメントが発生した場合の事実確認、相談者が二次被害とならないために相談に対応する際に配慮すべきことなどを学びます。
業務においてどこからがハラスメント行為なのか線引きが曖昧な方
多様な働き方が認められるようになった現代、改めて職場環境配慮義務という労働契約法が注目を集めています。職場内では、上司から部下への指導が厳しすぎることや、相手をコントロールしたい意図から、本人が気づかないうちに相手への嫌がらせのようになり、ハラスメントとなることもあります。
たとえば、職場の人員不足やノルマが高すぎる場合、上司が部下に無茶な要求をしてしまうなど、指導とハラスメントが混同してしまうこともあるでしょう。また、物の捉え方や感じ方は人それぞれ違うため、信頼関係ができていないと、ほかの人にとっては嫌な気持ちにならないことでも本人がハラスメントだと感じれば問題につながる事例もあるでしょう。
ハラスメントが起こる原因を解消するためにも、職場環境を整えながら、適切な伝え方でコミュニケーションが取れるように、企業側から改善策を働きかける必要があります。
近年ハラスメント問題は多様な広がりをみせ、社会問題のひとつとして取り上げられることもしばしばです。嫌がらせやいじめなどハラスメントについて、十分な措置を取らなければ職場環境配慮義務違反となることがあります。
職場内で対策すべきリスクの一つとして考えている
職場環境が原因でハラスメントが起きやすい状況が生まれている可能性もあげられます。ハラスメントは、上司から部下に起こりやすいと思われがちですが、上下関係や立場に関わらず「相手が苦痛だ」と感じた時点でハラスメントにあたります。
たとえば、同僚から同僚に厳しい言い方をしたり、女性から男性に差別的な伝え方をしたりするのも当てはまります。
- パワーハラスメント:職場での地位や権限が強いことを利用して、相手が苦痛に感じるような言動や態度をとること
- セクシュアルハラスメント:職場内で相手に性的な言動で不快な思いや、人権を侵害するような言動や態度をとること
- マタニティハラスメント:妊娠や出産、子育てに関わる内容で嫌がらせの言動や態度をとること
- ケアハラスメント:家族の介護に関わる社員に向けて、介護に関わる制度を利用させないなど、介護に関わる内容で嫌がらせの言動や態度をとること
上記のようなハラスメントには、客観的な評価ではない減給や降格などの不当な対応、退職を迫る言動、職場での立場が不利になるような言動をすることなど、雇用に関わる嫌がらせも含まれます。伝えられた側の本人は、心理的に追いつめられるだけでなく、長期的に働くことが難しくなるなど強いストレスや勤務を続けることへの問題にもつながるでしょう。
ハラスメント研修を実施する目的は、ハラスメントについての理解を深め、社員一人ひとりのリテラシーを強化して、ハラスメントを起こさない職場風土づくりを進め、働きやすい環境を構築することです。
