逆パワハラ(部下や一部の職員が、上司や弱い立場にある人へ圧をかける行為)は実際に起こり得ます。
ここでは現実的な対処法と組織としての対応に分けて整理します。
① 逆パワハラとは何か(再確認)
• 注意や指導をすると泣き叫ぶ・怒鳴る
• すぐ感情的に反応し、「説明しろ」「証拠を出せ」と詰め続ける
• 上司の業務指示を拒否し続ける
• 他の職員に「あの上司はひどい」と吹聴する
• 不当な要求を繰り返し、組織運営を妨げる
ポイント:上司側の言動が適切でも「相手の圧」で指導ができなくなり、
組織秩序が崩れるのが逆パワハラの本質です。
② 対応の基本方針(個人として)
1)「事実の記録」を徹底する
逆パワハラへの唯一の“武器”は証拠です。
感情的なやり取りほど記録が曖昧になりがちなので、以下を必ず残す:
• 日時• 相手の発言• 自分の指示内容
• 反応・態度• 業務への支障• 第三者がいたか
2)その場で感情の応酬をしない
逆パワハラをする人は「感情で場を支配する」タイプが多いです。
→ 冷静なトーンで、事実と業務目的だけを返す。
例:「今は感情が高ぶっているようなので、業務に必要な点だけ確認します」
「この件は事実を整理してから、改めて話しましょう」
感情に乗ると“言った/言わない”が増え、不利になります。
3)個人では抱えず、早めに組織ラインへ共有
逆パワハラを受けている上司は「弱い上司」と誤解されやすいため、早期共有が最重要 です。
• 係長 → 課長 → 人事・コンプラ
• 事務局なら、局長・副局長・人事課などへ
ポイント:「困っている」ではなく
“組織運営に支障が出ている”として報告することが効果的。
4)対話は「二人だけ」で行わない
必ず第三者(同席者・上位者・人事)を入れる。
理由:• 相手は二人きりだと態度が変わる
• 記録の客観性が高くなる
• 相手にも“ラインがある”ことを示せる
5)指示は書面化する
口頭指示だと「聞いていない」と反論されやすい。
• メール• 文書• チャット(ログが残るもの)に置き換える。
例:「先ほどの件、念のため指示内容を文書で送ります」
③ 組織として取るべき対応(自治体や議会で特に重要)
1)「心理的安全性」確保は全員を対象とする
逆パワハラは“弱い立場も守る”という名目で放置されやすいですが、
心理的安全性は 上司・管理職を含む全員のためのもの。
→ 組織文化として「過度な感情表出」「攻撃的要求」を許さないルールを作る必要がある。
2)行動規範・コンプラ指針に明記
• 行き過ぎた要求
• 恫喝的な態度
• 指示拒否の常態化
は「ハラスメント行為」として明示。
3)第三者面談・人事評価への反映
逆パワハラをする人は、面談で初めて客観的に自分の行為を知る例も多い。
• 行為を具体的事実として説明
• 改善計画を示す
• 評価や配置転換の材料にする
4)管理職研修に必ず「逆パワハラへの対応」を入れる
上司側が萎縮してしまうと逆パワハラは連鎖します。“適切に指導する方法”の習得が必要。
④ 逆パワハラが起きやすい職場の特徴
• 役割や指示が曖昧
• 上司が孤立
• 観察者が口を出さない
• 組織が「部下優先文化」に寄りすぎる
• 若手や特定職員への過保護
議会事務局や行政組織でも起こり得ます。
⑤ すぐできる一言フレーズ集(現場用)
• 「業務上必要な点だけ確認させてください」
• 「その言動は記録に残します」
• 「この件は第三者同席で進めましょう」
• 「事実に基づいて整理しますね」
• 「感情が落ち着いたら続けましょう」
• 「メールで指示内容を送ります」
※相手に“線引きされている”ことを自覚させる効果があります。
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